真夏の約束を共に、温もりを胸に刻まる | 初見
——2024柳州市中日青少年交流成果大記事EP1
初見 | 未知から共鳴への旅
去年の夏、厳しい暑さの中、柳州には特別な客たちが訪ねてきた。広西と柳州の日本友好都市からやって来た少年たちが、初めての中国訪問の旅を始めたのだ。
見知らぬ土地に足を踏み入れた彼らの顔には、期待が溢れる一方で、緊張や不安そうな顔もしていた。多くの日本の若者にとって、中国は親しみがありながらも遠い存在だった。どこか霧に包まれた幻想の国が今この瞬間、初めて目の前の現実となった。
街に一歩踏み込むと、目に映るもの、耳に届くものすべてが新鮮で、それ自体が心を刺激する体験だった。
言葉の壁に少し戸惑いながらも、受け入れ側の笑顔と温かな心配りが、すぐに距離を縮めてくれた。思いが交わる中で、国境を越えた交流の物語が静かに幕を開けた。
「2024日本友好都市青少年広西訪問交流団」一行が柳州市旅行学校の正門前で記念撮影を行いました。
目を奪われ風景との邂逅 & 旅で見つける答え
蝉時雨の7月、猛暑に包まれながら、異国への好奇心と喜びを胸に,旅路へと踏み出した日本の若者たち。柳州市に着いた途端、目の前の光景は彼らの想像を超えていった。高速鉄道駅を出て乗り込んだ観光バスの車内では、驚嘆の声が絶えなかった。「わあ!町が緑の山々に囲まれてる!」」「なんてこんなに奇妙な形の橋があるのー?さっき通った橋はまるで指輪のようだ」ここへ来る前に、ただ独特なカルスト地形とたくさんの自然資源を持つ町だと思ったが、高層ビルが林立し、都市の広大さに驚きを隠せない。ここまで現代化な都市だとは…!
都会の賑わいと緑の調和が溶け合う街並み。街の隅々に温もりと熱気があふれ、彼らの目に映ったのは、柳州の急速な発展の姿であった。地元の人々の親しさと独特な風土文化で、かつては未知の都市である柳州が、独特の魅力で彼らの記憶の奥底にひっそり根を下ろし始めている。
柳州に来る前、これらの日本の若者達は、多少柳州について調べたことがあったが、得られる情報は極めて限られていた。どのような都市なのか調べてもあまり情報がなく、どんな場所なのか想像できなかったため、出発前は不安を感じていた。
熊本大学の別府昭興は「ネットで見た柳州は煙突と高層ビルが並ぶ工業都市というイメージでしたが、実際に訪れてみると近代的な建築物だけでなく公園や緑、美しい花々が溢れ、街全体が本当に美しい」。一方、茨城県阿見町の霞ヶ浦高校出身の斎藤彩葉は「買い物の際、言葉が通じなくても店員さんが笑顔で感謝を伝えてくれる温かさに触れ、人との触れ合いに癒され、この街がもっと好きになった」と語った。
異国の絆&悠久の架け橋
在日本中国大使呉江浩が「青年は国家と民族の希望である」と語った。また、習近平国家主席もかつて日本の若者への返信の中で、「両国友好の根底は民間交流にあり、その未来を担うのは若い世代である」と述べ、交流を通じた相互理解の深化と持続可能な友好関係の構築を強く訴えた。そして「文化の相互触発によって、両国関係の新たな世代を切り拓く積極的な役割を果たしてほしい」と期待を寄せた。
柳州と友好都市である阿見町の友好交流は1996年に始まり、約30年に渡って、政府間の相互訪問、教育、文化、農業など多くの分野で深い協力関係を築いてきた。両国の青少年の交流を深めるために、2004年、両市町は「中日ホームステイ交流」というブランドイベントを共同で作り上げた。それ以来、同イベントは7回成功裏に開催され、累計で200人余りの中日の学生が参加しており、実際の生活体験を通じて、異文化理解の架け橋を築いていた。
2022年11月17日、柳州市人民対外友好協会による中日青少年オンライン「バーチャル相互訪問」イベントを開催し、日中生徒たちはそれぞれの学校生活や都市の魅力を紹介し合いました。
コロナ禍のせいで、両市町は一時的に対面での交流を行うことが出来なかったが、友情を絶やさないため、2022年、中日国交正常化50周年と両市町友好都市締結1周年を記念する際に、両市町は青少年向けのオンライン「バーチャル訪問」イベントを打ち出した。柳州市第三中学校(高校)と阿見町霞ヶ浦高校が手を携え、この特別なオンライン交流を実現させた。
2022年11月17日のオンライン「バーチャル相互訪問」で阿見町・霞ヶ浦高校の生徒が文化祭や手描きのはがきを紹介しました。
20名余りの中日の青少年が時空を越えて、オンラインでつながった。画面の中で、彼らは学園生活のささやかな喜びが交わし、故郷の文化のユニークな魅力を語り合い、芸術パフォーマンスも披露された。ゆったりと流れるスライドには青春の笑顔とカラフルな風景が映し出され、一枚ずつ手描きの絵葉書には未来への友情の願いが込められている。
自由交流タイムでは、第三中学校の学生たちの目が抑えきれない興奮と期待に輝き、日本語の授業で習った表現を使いたくて、手を挙げる姿が続出した。少し照れながら地元の美食を紹介したり、好きな日本のアニメキャラクターについて熱く語ったりする姿も見られた。この時、言葉はもはや壁ではなく、相互理解への架け橋となっていた。
2022年11月17日のオンライン「バーチャル相互訪問」で柳州市第三中学校と阿見町・霞ヶ浦高校の生徒がオンライン交流後に記念撮影を行いました。
不安の霧晴れ & 心の壁を溶解
金風の8月、コロナ禍の影響で4年間休止していたホームステイ交流プロジェクトがついに再開した。阿見町の朝日中学、竹来中学らからの7人の中学生が柳州にやって来て、壺西実験中学の学生の家庭で3日間のホームステイ体験が始まった。短い数日間で、彼らは柳州の風土人情を感じ取るだけでなく、異国の家族のような温かさも見つけた。
大滝美桜の両親は中日貿易に従事しており、幼い頃から「いつか中国に行ってみたい」と憧れていた。言葉が通じない中でも、すぐにホストファミリーの一員になり、唐若芯と親友になった。二人は柳州市動物園に行って愛らしいパンダを見て、「中秋節」の月餅を手作りし、家で餃子作りもした。「言葉が通じなくても、心のこもった料理を用意してくれて、本当に温かさを感じました。」と大滝美桜は感嘆で言ってた。別れ際には手をつないで民族衣装を身にまとい、この大切な思い出を写真に収めた。
「彼女は最初にとても緊張しそうて、内向的な様子で、いつもマスクを着けていたんです。」と小松崎麻椰のホストファミリー蒙菲が言った。
「麻椰ちゃんと初めて会った時、少し距離感があったよね。」
2024年8月24日阿見町の中学生たちが柳州のホームステイ先で餃子作りを体験しました。
言葉の壁があるため、最初は翻訳アプリでしか会話は成り立ったない。ある日、雪テーマパークに子どもたちを連れて行ったところ、その緊張感が一気に打ち解けるきっかけが生じた。「その後、麻椰ちゃんはマスクを外し、少しずつ心を開いてくれるようになった。」
「同じゲームのアニメキャラが好きで共通の話題がたくさんあって、時々大笑いしていると、両親には何が面白いのかさっぱりわからないみたい。」と楊芷涵は笑いながら言ってた。言葉が通じなくても、日本の友達・麻椰ちゃんとの「暗号会話」は成立し、アニメを一緒に見たり寝込んだり、おしゃべりしたりする仲良し。クラスメートを自宅に招いて日本の友達と交流させて、「人狼ゲーム」や「ジェスチャーゲーム」を翻訳アプリを使って楽しんでるうちに、最初の壁は笑い声に包まれていきました。
2024年8月阿見町の青少年が柳州でホームステイ交流を実施する様子です。
中国の家庭に溶け込むため、日本の少女・富田結菜は渡航前から基礎中国語を学び、毎朝欠かさず挨拶を心がけていた。交流相手の江盈菲は彼女の姿に心を打たれ、「礼儀正しく、時間を大切にし、人への思いやりにあふれていた。多くのことを学ばせてもらった」と語った。
短いホームステイ期間ながら、富田は柳州の伝統文化にふれ、家族の支えを受けて会話力を身につけた。「人々の優しさと美しい風景に触れ、帰国後は家族に本当の中国を伝えたい」と微笑む。
食卓を囲み、言葉を交わし、共に笑う中で、子どもたちは自然と心を通わせ、友情の芽が育っていった。都市の距離を超えて、心と心がつながる橋が築かれていく。あたたかな出会いに包まれながら、彼らの柳州での日々は、まだ続いていく。…(つづく)