真夏の約束を共に、温もりを胸に刻まる | ルックバック
——2024柳州市中日青少年交流成果大記事EP2
ルックバック| 永遠と青春のカケラ
舌で味わい、指で触れる柳州の魅力
もし文化は思想と歴史の衝突であるなら、グルメは味覚と感情の融合と言えるだろう。
「タニシビーフンって一体どんな味なの?」柳州旅を控えた日本の若者たちは、この地元グルメに強い好奇心を抱いている。ドリアンのような独特の味すると聞いた者もいるし、ネット上で話題になった「謎の香り」について議論を目にし、期待と緊張が入り混じった複雑な気持ち...
しかし熱々のタニシビーフンを実際に口にした瞬間、舌の上で答えが徐々に明らかになっていった。熊本大学の別府昭興さんは、タニシビーフンをひと口食べた瞬間、目を輝かせながら「想像を超えていました!酸っぱくて辛い味が食欲をそそって、本当に美味しいです」と感想を語った。
隣にいた木下凛さんも、あまりの美味しさに思わず何口も頬張り、「袋入りのタニシビーフンを何個か日本に持ち帰りたい!ぜひ友達にもこの独特な味を味わってもらいたいです!」と興奮気味に話していた。
タニシビーフンを味わい
実際に味わっただけでなく、広西螺霸王食品株式会社の自動化されたタニシビーフンの生産ラインも見学した。厳選された素材からスープの煮込み、ビーフンの戻し、そして真空パックに至るまで、一つ一つの工程に「こんなに近代的な設備で作られているとは思わなかった!」と驚きの声が上がった。「てっきり屋台のローカルフードかと思っていましたが、ここまで整った産業チェーンがあるとは驚きです。海外でも人気があるのも納得です」との感想も聞かれた。
広西螺霸王食品株式会社に見学
タニシビーフンが味覚にとっての刺激的な体験であるならば、無形文化財の体験は、指先から中国の伝統技術の魅力を感じることだと言えるだろう。
バスが柳州市旅行学校の校門に入ると、遠くから民族衣装を着た学生たちが山歌を歌い、竹竿踊りを披露しながら、遠路から来た客を出迎える姿が見えた。竹竿がリズミカルに開閉するのを見て、好奇心を抱いながらも、リズムを間違えて足を挟まれるのではないかと躊躇していた日本の若者たち。柳州の学生たちは親切に彼らの手を取って導き、ゆっくりとリズムに合わさせて、最初の緊張から少しずつリラックスしていった。中日の若者たちは手をつないで、校庭には笑い声と歓声が響き渡った。
竹竿踊り
漆扇作り体験学習で、皆はそっと扇面を水に浮かべた顔料へゆっくり浸していた。模様が自然に形成されるのを待ち、扇を引き上げるたびに、その表面には唯一無二の紋様が浮かび上がる。「すごい!」熊本の高校生は自分が作った漆扇を見つめながら感嘆の声を上げた。「まるで水で絵を描いているみたいで、色や模様が二度と同じにならないんです。本当に芸術的だと思いました!」
作り上げた漆扇との写真
柳州市第二職業技術学校の無形文化財博物館に足を踏み入れた瞬間、ひっそりと咲く文化の園に迷い込んだ感覚が広がった。学校の生徒たち手作業で仕上げた色どりの民族衣装や、さまざまな形の工芸品が所狭しと並んでいて、日本の若者たちは思わず立ち止まり、その美しさに見入っていた。中国の無形文化の魅力に感動し、指先と心を通わせながら、少しずつ異文化の魂に触れていった。
柳州市第二職業技術学校の無形文化財博物館に見学
点茶は絵の如く、書道は詩の如し。手作りのジャスミンミルクティーの香りは、どこか懐かしく穏やかな記憶を運んでくれるようだった。
ほのかによもぎの香りが指先に広がり、安心感と静けさを運んでくる中、皆が艾草の養生ハンマー作りにも挑戦した。完成したハンマーをそっと両手取って、「この艾の香りはとてもリラックスで、家族のおじいちゃんおばあちゃんにぴったりのプレゼントです。」と、満足そうな笑顔を浮かべる若者の姿もあった。
その後、『本草綱目』のメロディーに合わせ、健康体操が始まった。言葉は違っても、心は通じ合い、笑い声と会話は永遠の記憶となり、中日友情の最も感動的なエピソードとなるだろう。
艾草の養生ハンマー作り挑戦
「スマート製造」・躍動未来の自動車都
上汽通用五菱の「中国五菱館」を訪れた際、日本の若者たちは、コンパクトで可愛いEVの列に目を輝かせ、次々と試乗体験をしていった。「柳州では、町のあちこちで電気自動車を見かけて、中国におけるEVの発展スピード、そしてこの都市での普及率には本当に驚きました。機会あれば、日本でも柳州製の電気自動車をぜひ購入してみたいです!」阿見町霞ヶ浦高校の今関優斗先生が「中国古代史を研究する教師として、歴史・人文・工業のすべてが輝く柳州をこの目で見ることができ、この美しい友好都市の姿を、霞ヶ浦高の生徒たちにも伝えたいです」と語った。
EV自動車試乗車体験
さらに日本の若者たちを驚かせたのは、いわゆる「神車(シェンチャー)」と呼ばれる五菱の車が中国国内で好評されただけでなく、グローバル市場でも次々と販売好調を収めているという事だ。特に「五菱宏光MINIEV」は、一時的世界の電気自動車販売台数で首位を獲得し、国際的にも大きな注目を集めた。
感慨深いことに、昔柳州のメーカーは自動車製造技術を習得するため、日本製の三菱自動車を5500以上の部品に分解し、手作業で模倣することで広西初の小型自動車を生産した。かつて日本から技術を学んでいた柳州が、今では日本の企業から研究対象として見られるようになった。そんな「逆転のストーリー」は驚きを禁じ得ず、「スマート製造の都」の世界へ進出に伝説的な厚みと確かな自信を付与している。
蓮の郷に咲く農業振興の花
阿見町は農業生産分野で豊富かつ先進的な実践経験を持っている。2001年より、阿見町は柳州市の農業技術者を定期的に無償受け入れ、3ヶ月から半年に及ぶ農作物栽培技術研修を実施してきた。これまでに計4回派遣されており、両市町における農業技術協力と交流の重要なプラットフォームとなっている。研修参加者らは、阿見町の効率的で規範な農業管理システムや近代化な機械作業パターンに強い印象を受け、柳州側の農業従事者にとっても大きな刺激と学びとなっている。また、両市町は共にレンコンの産地として知られており、この「絆」が農業交流におけるかけがえのないつながりを育んでいる。
百朋蓮の花小町を見学しにきた
真夏、「十里蓮塘」の美称を持つ百朋蓮の花小町では、蓮の花が香り立つ、緑豊かな畑に咲き誇る中、日本の若者たちが柳州市新農村建設の実態を見学しにきた。「日本の田舎出身なので、自身も農学部の学生なんです。この蓮の花小町の訪問を通じて、柳州の新農村がどのように発展しているのかを実際に見ることができました。」と、熊本大学の宮本彩加さんは興奮気味に語った。「この町で見たことを、ぜひクラスメートにも伝えたいです。蓮のトロッコ観光もとても楽しく、地元の方々が手取り足取りで豆乳づくりやお餅(糍粑)づくりを教えてくださったのも印象的でした。暑さで汗だくになりましたが、自分たちで作った糍粑を食べたときの達成感は格別でした。農村と観光を融合させたこのユニークな取り組みは、私たちにとっても大いに参考になると思います。」
豆乳づくりとお餅(糍粑)づくり体験
「明浜」との出会い・夜に刻まれた記憶
今回の柳州訪問の中で、日本の若者たちにとって最も印象的でサプライズとなったのは、柳州動物園でパンダ「明浜」との出会いだろう。国宝と称されるパンダは、日本でも非常に人気が高く、今では日中友好の象徴とも言える。
「どうしても生のパンダを見て、友人に自慢したい」というパンダに特別な憧れを抱いてる若者たちのその思いに応えるため、柳州市人民対外友好協会のスタッフは日程にはなかった柳州動物園の見学を、翌日のスケジュールにこっそり追加し、サプライズとして用意した。
柳州動物園の見学
「明浜」は日中友好使者「梅梅」と「永明」の子で、和歌山県白浜町で生まれ6年間日本で暮らした後、中国に返還され現在柳州市動物園で飼育されている。「明浜を見た瞬間、思わず泣きそうになりました。」ある熊本の高校生は、パンダ館のガラス越しに、竹をゆったりと食べる明浜を見つめながら、しみじみと語った。「子どもの頃は日本で育っていて、私は和歌山動物園で実際に見たことがあります。今は中国に帰ってきていて、まるで友だちがふるさとに戻ってきたような感じがしました。」何人かの若者がパンダのイラスト入りTシャツを着て、ガラス越しに明浜と記念撮影。「この写真を家族に送って見せたいなぁ。きっとすごく喜んでくれると思う!」と、ある目を輝かせながら話した女の子。
日が暮れ、ナイトクルーズはゆったりと柳江へ。川の両岸には色どりの灯りがきらめき、水面にきらめく光が映し出される。そよ風が肌を撫で、夏の夜ならではの優しさが漂う中、皆が甲板にもたれながらそっと言った。「あっという間に一日が終わってしまって、少し名残惜しいね。柳州の夜景は日本とは全然違って、もっとにぎやかで、両岸にある滝やライトショーが交差していて、本当に美しいと思う。」
柳江ナイトクルーズ体験
会話を楽しんだり、写真を撮ったり、美しい夜景を眺めたりしていた皆の姿。その一時、ゆるやかに流れる柳江の水面は、彼らの成長の足跡を静かに見守り、そして別れ惜しむ友情の輝きもそっと映し出していた。
...(つづく)